膝蓋骨骨折

膝蓋骨骨折

【膝蓋骨骨折の概要】

膝蓋骨というのは膝軟骨の前面にある骨で、一般的に「膝の皿」と呼ばれている部分です。その骨が折れてしまうのが膝蓋骨骨折で、「膝の皿を割った」などというふうによく表現されています。

中央で上下に2つに割れる場合もあれば、複雑に割れて骨の欠片ができる場合もあります。膝蓋骨には膝の動きを滑らかに、効率的にする役割があるため、骨折すると膝が思うように動かせなくなります。

【膝蓋骨骨折の原因】

膝蓋骨骨折は外部からの衝撃による外傷です。交通事故や転倒などで膝を強く打ち付けたり、膝の上に重いものが落ちてくるなど、大きな衝撃が加わったときに起こります。また激しいスポーツで大腿四頭筋が急激に強い緊張を起こしたときに、垂直に2つに折れることもあります。

【膝蓋骨骨折の症状】

骨折ですので強い痛みがあります。皿がある膝の前側はもちろん、膝の裏側や太ももにまで痛みが広がることもあります。膝が腫れて自由に動かせなくなり、歩行が不安定になります。

外見では皮下出血で時間が経過したあとにあざが出てきたり、開放骨折では出血、傷口からの細菌感染などが起こることもあります。また合併症として、大腿骨や膝靭帯が損傷する場合があります。

【膝蓋骨骨折の治療】

膝蓋骨骨折の治療には、手術を行わずに治療する保存的治療と、手術を行う外科的治療の2つの方法があります。

保存的治療

骨折をした膝蓋骨の位置が、あまり元の位置から大きくずれていない場合は、保存的治療が適用されます。

骨折した骨を正しい位置に戻し、膝をまっすぐ伸ばした状態でギプスや装具を巻いて固定し骨がつくのを待ちます。4~5週間程度固定して骨がついたら、徐々にリハビリテーションを行っていきます。

外科的治療

開放骨折の場合は緊急手術が必要な他、膝蓋骨が複数の骨に分裂してしまっているときも手術による治療が選択されます。細い針金などを使用して、折れた骨同士をしっかりと固定して治癒を待ちます。

手術後は比較的早い段階で動かし始めることができ、膝の曲げ伸ばしや歩行もできるようになります。またギプスで固定しないのでリハビリテーションも早期に始められ、回復までの期間を短縮することが可能となります。

【膝蓋骨骨折の予防と治療後の注意】

膝蓋骨骨折の手術後に安静にしすぎると、手術を受けた側の足の筋力が低下して機能回復に良い影響を与えませんし、関節が固まって足が動かしづらくなってしまいます。それを防ぐためには、できる範囲で早めにリハビリテーションを始めることが大切です。

もちろん自己流で行うのは危険ですので、理学療法士などの指導を受けながら、耐えられる範囲の痛みは我慢してリハビリに取り組み、徐々に機能を取り戻していくようにしましょう。

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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮

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