棚障害

棚障害

【棚障害の概要】

棚障害というのは膝蓋骨と大腿骨の間にある滑膜ひだが、激しいスポーツの屈伸運動など何かの原因で炎症を起こし、膝に痛みや違和感などの症状が出る障害です。

滑膜ひだは胎生期にはすべての人にあるものですが、生まれたあとに半数程度の人は消えてなくなり、半数程度の人には残っています。

滑膜ひだの見かけが棚のように見えることから、この名称で呼ばれています。

【棚障害の原因】

滑膜ひだが膝の屈伸の際に膝蓋骨(膝の皿)と大腿骨(太ももの骨)の間に挟み込まれてその刺激で傷ついたり、それが繰り返すことによって肥厚したりします。

スポーツなどで慢性的に膝に負担がかかるとそこに炎症が起こり、痛みや腫れが出現します。
先天的に膝蓋骨の形や膝蓋腱が長い人は、棚障害を起こす確率が高い他、大腿四頭筋の柔軟性が低いときなども、この症状が出やすくなります。

【棚障害の症状】

膝を曲げ伸ばしするときに膝の内側あたりでコリっと音がしたり、何かが引っかかるような違和感、膝回りの重苦しさ、痛みなどを覚えるようになります。

軽い違和感程度の人から、強い痛みを感じる人まで症状は様々です。この状態を長期間放置しておくと、立っているときや安静にしているときにまで症状が続くようになります。

ただしこれらの症状があるからといって、必ずしも棚障害であるとは限りませんので、MRI等での検査と診断が必要です。

【棚障害の治療】

棚障害を治すには保存的療法が基本となりますが、状態によっては手術療法での治療を行う場合もあります。

保存的療法

痛みを感じる動作を避けるようにして局所の安静を保ち、消炎鎮痛剤の内服や外用薬の使用、状態に応じてアイシングや温熱療法を行います。

痛みが強く引かない場合にはステロイド注射を使用し、その後大腿四頭筋のストレッチやトレーニングで柔軟性を高めて行きます。

手術療法

保存的療法を行なっても症状が改善しない、痛みが残り日常生活にも支障をきたす、仕事やスポーツにも影響するといった場合、手術での治療を行うことも考慮されます。
関節鏡という細い筒状のカメラを使って滑膜ひだ(棚)を切除し、膝蓋骨と大腿骨の間に挟まらないようにする手術です。

ただし棚障害で手術に至る人はあまり多くはなく、安易に手術に頼るのは避けたいところです。

【棚障害の予防と治療後の注意】

棚障害は生まれつき持っている滑膜ひだが原因ですが、症状は大腿四頭筋やハムストリングスなどの緊張が要因となることも多いため、これらの柔軟性を保つために十分なストレッチやトレーニングを行うようにするといいでしょう。

またスポーツ時の激しい屈伸などが炎症のきっかけとなることも多いので、スポーツをする際にも入念なウォーミングアップを欠かさないようにするなど、日ごろから対策をとることも大切です。

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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮

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