何でひざが痛くなるの!?

ひざの痛みの悪循環

ひざの痛みの原因で最も多いと言われているのは、軟骨のすり減りによって起こる変形性膝関節症と言われています。

確かに、軟骨がすり減り、骨棘(骨のトゲ)と呼ばれる骨の出っ張りが出来たり、骨と骨の隙間が無くなったりすると痛そうです。その為、軟骨が痛みの原因のように感じます。しかし、軟骨には神経がありません。

人間の体で痛みを感じる場所は、神経です。つまり、爪や髪の毛を切っても痛くないのと同じで、神経がない場所では痛みを感じる事はないのです。

では、なぜ軟骨がすり減るとひざが痛くなると言われているのでしょうか?

その1 筋肉のコリ

軟骨がすり減り、筋肉へ大きな負荷が掛かり続けると、筋肉が疲労し、硬くなり、血管を圧迫してしまいます。

すると、血液の流れが悪くなり、血液を通して送られる酸素や栄養が不足し、疲労物質(乳酸)が作られます。その結果、乳酸が刺激となり、発痛物質(痛みを起こす物質)が発生し、神経を刺激して痛みが生じます。

また、硬くなった筋肉は、神経を圧迫して傷つけることもあり、末梢神経の痛みや、しびれが起こることもあります。

その2 軟骨のすり減り


軟骨がすり減る際、軟骨の削りカスの様な微小な軟骨片が生じます。この軟骨片が滑膜に吸収される際に、異物を排除するための炎症反応を起こし滑膜の神経を刺激する為、痛みが生じます。

また、炎症を起こすと、軟骨を修復しようとして関節液が多量に分泌されます。本来、関節液は、軟骨の摩擦を和らげ、ひざに掛かる負担を軽減するために重要なものですが、必要以上に分泌されると、血流を悪化させる為、痛みの原因となります。これがよくいわれる「ひざに水が溜まる」状態です。

そして、痛みや炎症を放置すると、さらに軟骨のすり減りが進み、大きな骨棘が出来たり、骨と骨との隙間がなくなったりする為、周囲の神経を圧迫すようになる為、慢性的に痛みを感じ、この段階になると、なかなか元へ戻せない為、人工関節手術や骨切り術等の手術を選択することになります。

重要 ひざの痛みを慢性化させるメカニズム


筋肉のコリや軟骨の磨り減りが原因で、神経が痛みを感じると、交感神経の緊張と運動神経を興奮させ、血管の収縮や筋肉の緊張を起こします。すると、血液の流れが悪くなり、血液を通して送られる酸素や栄養が不足します。その結果、発痛物質(痛みを起こす物質)が発生し、さらなる筋肉のコリと痛みを引き起こします。

その筋肉のコリと痛みは、さらなる血管の収縮や筋肉の緊張を起こし、同じ現象を繰り返します。これは『痛みの悪循環』と呼ばれており、この悪循環に陥ると症状は慢性化していきます。

「痛みの悪循環」を発生させない為にも、なるべく早い段階で筋肉のコリをほぐし、痛みや炎症を抑えてあげる事が重要です。

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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮

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