ひざに痛みを感じたら、無理をせず、常に安静にしていればいいの?
軟骨を修復する方法
ひざが痛いと「動きたくない」とついつい安静にしてしまいます。もちろん、ひざに腫れや炎症がある場合は、無理をせず、安静にする必要があります。
しかし、ひざの治療をせず、腫れや炎症が自然と引くまで、ずっと安静にしていると筋力の低下や体重増加を招き、歩行時のひざへの衝撃が大きくなり、軟骨のすり減るスピードが早くなります。
また、筋肉や靭帯といった体の組織は、使っているうちはその機能が保たれますが、使われなくなると廃用性(使わないでいるうちに機能低下)が生じる為、筋肉や靱帯が硬くなり、ひざに備わっている可動域(動く範囲)が狭まり、十分な曲げ伸ばしが出来なくなってしまい歩行が困難になるので注意が必要です。
さらに、ひざ関節の動きが制限されると、関節内を満たしている「関節液」の循環を妨げる原因にもなります。
軟骨には、血管がない為、他の組織のように血液から直接栄養を得る事が出来ない為、「関節液」を通して、酸素や栄養を補給しています。
つまり、毎日の散歩等で適度にひざを動かす事は、筋肉や靭帯の萎縮(急速に低下)を防ぐだけでなく、軟骨に栄養を行き渡らせ、軟骨を修復する上でも重要なのです。
要注意 筋肉が凝った状態で歩くと、さらなるひざの痛みと炎症を生じる!?
筋肉が凝った状態で歩くと、ひざの痛みだけでなく、力が入りにくく、必ず他の部位で支えようとする為、ひざ関節の歪みにつながり、さらなるひざの痛みと炎症を生じます。
また、筋肉が凝った状態というのは、筋肉の過度の使用により疲れた状態ですので、疲労が回復しないうちに歩行を再開すると滑膜が炎症を起こします。滑膜に炎症がおこると、関節液の粘凋性が低下をまねき、本来の関節液の潤滑の役目を低下させてしまい、ひざへの負担が大きくなります。
さらに、炎症性の関節液の中には炎症により生じた酵素が存在しており、この酵素が軟骨のコラーゲン線維(Ⅱ型)を壊すことにより、軟骨を摩擦に弱い状態にしてしまい、余計に軟骨が磨り減り、変形性膝関節症が進んでいきます。
つまり、ひざ治療で重要なのは、筋肉が凝っていない状態で、散歩などで毎日適度にひざを動かす事です。
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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮