腱鞘炎になったら知っておきたいこと

腱鞘炎(けんしょうえん)

腱鞘炎の予防には、指や手首に負担がかかるような動きを控えることが肝心ですが、それでも腱鞘炎になってしまったら、どうすればよいでしょうか?

まず、痛みや腫れがそれほどひどくない場合は、病院に駆け込む前にセルフケアをして様子をみてみましょう。

腱鞘炎になったらまずはセルフケア


薬局で市販されている外用鎮痛消炎薬には、湿布剤やテープ剤などの「貼るタイプ」と、クリーム剤やローション剤などの「塗るタイプ」があります。

薬剤師に「どこが痛むのか」「どのように痛むのか」を伝え、自分の症状に合ったものを選んでください。

症状別で外用鎮痛消炎薬を選ぶ

たとえば、水分を含んでいる湿布剤には冷感性があるので、患部が熱っぽい場合に有効ですし、薄くて伸縮性のあるテープ剤は関節がしっかりカバーできるので、可動部位に使用するとよいでしょう。

一方、クリーム剤やローション剤、ゲル剤は、湿布やテープ剤が使いにくい指先などに使用します。

ただし、敏感肌の人は、これらの外用鎮痛消炎薬にかぶれることがありますので、注意しましょう。

使用する前に必ず薬剤師に相談

消炎・鎮痛成分によっては、妊婦や子供、ぜんそくを起こしたことがある人が使用すると危険な場合もありますので、使用する前に必ず薬剤師に相談してくださいね。

ちなみに、外用鎮痛消炎薬に含まれる「非ステロイド性抗炎症薬」と同じ成分から作られた内服薬もありますが、腱鞘炎の治療としては、直接皮膚から浸透させた方が効果が期待できることから、外用薬の方をオススメします。

症状が改善しない場合は病院へ

このような市販薬を1週間くらい試してみても、症状が特に改善しない場合は、病院で診察を受けましょう。

最初から病院に行くべき症状

もともと次のような重い症状があった場合は、セルフケアをしてもあまり効果が見込めませんので、最初から受診を考えた方がよいです。

1 痛みや腫れが強く、熱っぽい
2 関節が変形している
3 痛みが2週間以上続いている
4 関節が変形している
5 動かさなくても強い痛みがある
6 リウマチなどの持病がある

通常は整形外科、手外科があれば専門機関に

腱鞘炎を診察してもらうのは、整形外科ですが、もし「手外科」という専門医のいる機関があれば、そこで診てもらうのがベストです。

病院ではまず腱鞘炎のチェックが行われ、主な治療として、湿布やクリーム剤などの外用鎮痛消炎薬を使います。症状の程度や部位によっては、患部の安静を保つためにギプスで固定することもあります。

また、痛みがひどい場合には内服薬(痛み止め)を処方したり、炎症を抑えるステロイド注射をすることもあります。

このステロイド注射は、炎症のある腱鞘に直接注射する方法です。これによって症状は3週間ほどで改善し、その効果は半年ほど続きます。

腱鞘炎が治らない場合は手術になる場合も

しかし、このような治療を続けてもなかなか改善しなかったり、再発を繰り返すような場合には、最後の手段として手術を行います。

これは、炎症を起こして腫れている腱鞘を切って開く手術です。

腱鞘炎は腱と腱鞘が擦れることで生じる炎症なので、いわばその腱鞘を切り開いてトンネルを広げ、腱と擦れないようにするわけです。

切った腱鞘はそのままの状態になりますが、腱鞘は他にもありますので、手の機能に支障が出ることはほとんどありません。

手術の所要時間は10~20分程度。簡単な日帰り手術ですし、再発の心配のない確実な治療法ですので、最初から手術を選ぶ人も少なくないようです。

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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮

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