腱鞘炎で使用する湿布などの外用鎮痛消炎薬の種類や使い方は?

腱鞘炎(けんしょうえん)

指や手首に痛みや違和感があり、「もしかして腱鞘炎かな?」と心配になっても、症状が軽ければ湿布などの外用鎮痛消炎薬を使って、しばらく様子を見ようという方も多いでしょう。

湿布は、病院に行かなくても薬局やドラックストアで簡単に購入できる身近な薬で、種類も豊富です。しかし、それらに含まれている主成分には違いがあることは、意外に意識されていないのではないでしょうか。

そこで本日は腱鞘炎で使用する外用鎮痛消炎薬についてお話していきます。

腱鞘炎の場合、まずは外用鎮痛消炎薬を使用するのがおすすめ

腱鞘炎
腱鞘炎になると、「プロスタグランジン」という物質が発生して痛みが生じます。このプロスタグランジンの発生を抑えるのが、外用鎮痛消炎薬に含まれる「非ステロイド性抗炎症薬」という成分です。

非ステロイド性抗炎症薬には内服薬もありますが、湿布薬の方が皮膚から直接浸透しますので、炎症を起こしている部分に早く効果を発揮します。

湿布の種類は温湿布と冷湿布の2種類

湿布の種類は下記の2種類あります。

①温湿布
②冷湿布

温湿布と冷湿布には、同じように非ステロイド性抗炎症薬の成分は含まれていますが、症状によって使い分ける必要があります。

症状によって使い分けるのが大事

たとえば、温湿布は腰痛や肩こりなど慢性期症状に使用します。

一方、冷湿布は打撲や捻挫、筋肉痛、腱鞘炎など、急な痛みや熱をもった痛みがある場合に使用します。

つまり、急性症状に対しては冷やして炎症を抑え、慢性症状に対しては温めて炎症を抑えていくという対処法です。

湿布には素材が2種類ある

また、湿布には素材によってパップ剤とテープ剤の2種類があり、それぞれ特徴を知った上で使用するとよいでしょう。

1.パップ剤

水分を多く含んだ厚めの生地で、冷感があります。

テープ剤に比べるとはがれやすいので、膝や肘など伸縮する部位には使いづらいですが、テープ剤に比べるとかぶれにくいので、敏感肌の方にはオススメです。

2.テープ剤(プラスター剤)

薄くて粘着力が強く、伸縮性に優れていますので、肘や膝、関節など伸縮が激しい部位に貼るのがおすすめです。

また、色が自然な肌色になっている商品が多いことから、目に見える場所に貼ってもあまり目立ちません。

湿布薬の特有の匂い


湿布薬と聞いて思い浮かぶのは、その特有の匂いです。外出時や職場で、湿布の匂いを気にする方も多いのではないでしょうか。

匂いの成分には、「サリチル酸メチル」と「l-メントール」があります。簡単にいうと、サリチル酸メチルはサロンパスの匂いで、l-メントールは、鼻や目に染みるハッカの匂いです。

最近は無臭の湿布薬もありますが、匂いを気にする方は、成分に「サリチル酸メチル」「l-メントール」と書かれているかどうかを参考にしてみてください。

湿布薬の副作用について

内服薬に比べると副作用が少ないとされている湿布薬ですが、副作用が全くないわけではありません。

敏感肌の方は注意が必要

湿布特有の副作用として一般的なのは、かぶれです。パップ剤より粘着力が強いテープ剤は、はがす時に皮膚の角質層も一緒にはがしてしまうので、炎症が起こってかぶれやすくなります。

特に敏感肌の方や、湿布剤を頻繁に貼りかえたり、長期間にわたって同じ場所に湿布を貼り続けている方は、リスクが高まりやすくなりますので、気をつけましょう。

また、湿布薬に含まれる非ステロイド性抗炎症薬は、胃腸障害の要因になることがありますので、胃腸が弱い体質の方は、適切な用法・用量を守るようにしてください。

たとえ安全性が高くでも、湿布薬の成分が体に合わないことがあります。もし患部以外に発疹が出たり、アレルギー体質反応が出たり、息切れや呼吸困難、血圧低下などの症状があった場合、それは重い副作用ですので、湿布薬を貼るのをやめて医療機関で受診しましょう。

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【理学療法士監修】寺﨑 裕亮

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